はじめに

深度合成を用いて撮影した昆虫をタイトル通り”ためつすがめつ”、様々な方向から掲載し紹介していきたいと思います。同定間違い、学名等の間違い、どんどんご指摘ください。今後ともよろしくお願い致します。

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2017年10月21日土曜日

標本写真 2017.10.4① アミダテントウなど

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ネスイムシ科 Monotomidae

デオネスイ亜科 Monotominae

Monotomini

オバケデオネスイ♀Mimemodes monstrosus (Reitter, 1874)
オバケデオネスイ

   体長約2.6mm。なんといっても”オバケ”の名前が面白い。個人的には学名通りのモンスター、或いはカイジュウなんかだとさらにしっくりくる。原色図鑑には『キクイムシの天敵』との記述があり、キクイムシにはまさに怪獣なのだろうか。メスも十分に怪獣感があるのだが、オスは眼が張り出し、もっと怪獣感がでるようだ。前胸背板やはみ出た尾節板の点刻がとても力強くかっこよい。枯れ木や枯草で普通に採れるということなので、ぜひオスも採集したい。
(参考:日本産ヒラタムシ上科図説第1巻、原色日本甲虫図鑑第3巻


ケシキスイ科 Nitidulidae

ヒラタケシキスイ亜科 Epuraeinae

ヒラタケシキスイ族 Epuraeini

マメヒラタケシキスイ
Epuraea (Haptoncurina) paulula  Reitter, 1873
マメヒラタケシキスイ

マメヒラタケシキスイ
頭部(腹面)

   体長約1.8mm。この属は種類がとても多く、どれも似通っており、自分だけでは同定できなかった。CLAVICORNIAの掲示板でお尋ねしたところ、背面では本種又はツヤチビヒラタケシキスイのどちらかだろうと教えていただいた。腹面から顔を見ると、複眼が大きく、頬がないのが本種となるということである。どうやら頬の位置を勘違いしたらしく、それでも誤同定してしまったが、再度ご指摘をいただいた。多くの植物につくようだが、今回は枯れかかった植物のビーティングで多数得た。
(参考:CLAVICORNIA、原色日本甲虫図鑑第3巻



ケシキスイ亜科 Nitidulinae

マルケシキスイ族 Cyllodini

クロマルケシキスイ
Cyllodes ater Herbst, 1792


未成熟個体
後脚腿節

    体長約3.8mm。未成熟個体の方は当初別種かと思い捕まえたが、同定のために後脚腿節をみるとどちらも大差なかった。やはりCLAVICORNIAにて未成熟個体だろうとご指摘をうけた。サクラの伐採木についたキノコの周りをたくさんうろうろしていた。最初はやけに丸いオオキノコムシかと思った。非常に愛らしい虫だと思う。
(参考:CLAVICORNIA、原色日本甲虫図鑑第3巻


テントウムシ科 Coccinellidae


ヒメテントウムシ亜科 Scymninae

アミダテントウ族 Ortaliini

アミダテントウ
Amida tricolor (Harold, 1878)
アミダテントウ


アミダテントウ
2015.8.29 撮影

2015.8.29 撮影


   体長約4.6mm。私の最も好きな虫。学名もその美しい模様からか、阿弥陀如来を由来としているようだ。他の邦産テントウムシを見渡してもこのような模様のものはおらず、一発でこれと分かる。生時の複眼は深い緑色で美しい。幼虫・成虫ともにアオバハゴロモの幼虫を食べるということで、どこにいてもよさそうだが、実際は居る所と居ないところが分かれるようだ。原色図鑑によると本州の分布は福井県以南となっているが、現在はどうなのだろうか。
(参考:テントウムシの調べ方、原色日本甲虫図鑑第3巻


ヒメマキムシ科 Latridiidae


ヒメマキムシ亜科 Latridiinae

ムナボソヒメマキムシStephostethus sp.
ムナボソヒメマキムシ


   体長約1.9mm。問題がある種である。原色図鑑ではStephostethus angusticollisとして掲載されているのだが、この種は本当は翅に毛が生えている。海外のサイトを見ても、長毛がしっかり生えていた。ということで、原色図鑑に載っている(そしてこの写真の)種はS. angusticollisではないということになるそうだ。
(参考:平野幸彦 日本産ヒメマキムシ科 Stephostethus 属の再検討 神奈川虫報

2017年10月14日土曜日

標本写真 2017.10.1④ モンキナガクチキムシなど

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キノコムシダマシ科 Tetratomidae

モンキナガクチキ亜科 Penthinae

モンキナガクチキムシ♂
Penthe japana Marseul, 1876
モンキナガクチキムシ♂


モンキナガクチキムシ

   体長約12.7mm。オスのみ触角の第5節が膨らむ。なぜそんな中途半端な場所なのだろうか。中部以北の物はそのふくらみが大きいということだが、この個体は大きい方に入るのだろうか。前胸背板の黄色い毛が目につくが、触角の先端節も黄色い。モンキナガクチキムシ亜科に所属する昆虫は、日本ではこの虫だけなようである。
(参考:原色日本甲虫図鑑第3巻)


ゴミムシダマシ科 Tenebrionidae

クチキムシ亜科 Alleculinae

クチキムシ族 Alleculini
(クチキムシ亜族 Alleculina)

ホンドクロオオクチキムシ
Upinella  fuliginosa (Mäklin, 1875)
ホンドクロオオクチキムシ

   体長約14.7mm。以前はオオクチキムシと呼ばれていた種であるが、現在はこちらの名前が新しく示されている。朽木を見れば、必ずと言っていいほど出てくる虫。名前にたがわず朽ち木の住人である。腿節の先端の黒い部分の範囲は変異があるそうだ。
(参考:日本産ゴミムシダマシ大図鑑)



キノコゴミムシダマシ亜科 Diaperinae

キノコゴミムダマシ族 Diaperini
(キノコゴミムダマシ亜族 Diaperina)

ベニモンキノコゴミムシダマシ♂
Platydema subfascia subfascia (Walker, 1858)
ベニモンキノコゴミムシダマシ

ベニモンキノコゴミムシダマシ
2015.5.17 撮影
   体長約4.7mm。この仲間ではとても見つけやすく、いろいろなキノコから見つけている。亜種がいくつか存在するが、日本産は南西諸島の島で亜種が分かれるようだ。模様に関しては変異が大きいらしい。なにより特徴的なのは、その角だろう。左右非対称になっており、常に右側だけが発達するようだ。大あごが左右非対称なものは割と聞くが、角が左右非対称な虫はそれより少ないだろうと思う。普通種でも、大変味わい深い。
(参考:日本産ゴミムシダマシ大図鑑)

2017年10月10日火曜日

標本写真 2017.10.1③ キイロアシボソテントウダマシなど

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ムクゲキスイムシ科 Biphyllidae

ムナビロムクゲキスイ
Byphyllus aequalis (Reitter, 1889)
ムナビロムクゲキスイ

   体長約2.4mm。朽ち木のスプレーイングで落ちてきた。原色図鑑では稀とされている。この科の昆虫は皆小さく、動いていないと木くずと区別がつかない。しかし、拡大してみるとなんとも可愛らしい姿をしている。尨毛(むくげ)とは動物の長くふさふさした毛を意味する言葉だそうで、この種も長い毛におおわれている。
(参考:日本産ヒラタムシ上科図説第2巻、原色日本甲虫図鑑第3巻)


テントウムシダマシ科 Endomychidae

ムクゲテントウダマシ亜科 Stenotarsinae

キイロアシボソテントウダマシ
Chondria lutea Gorhan, 1887
キイロアシボソテントウダマシ

   体長約2.2mm。おそらく立ち枯れのスプレーイングで得ている。全く正体が分からなかったが、Twitterですぐ教えていただいた。古い資料になるが、1980年の甲虫ニュースによれば、原記載以降の採集例は0であったそうだ。その後三重県や神奈川県で得られているようだが、その数はやはり少ないらしい。実は岐阜県ではすでに発見された方がいるが、大変珍しいことに変わりはあるまいと思う。このような出会いがあるから、昆虫採集はやめられない。
(参考:佐々治寛之 日本産テントウダマシ科概説 甲虫ニュース)

カタベニケブカテントウダマシ
Ectomychus basalis Gorhan, 1887
カタベニケブカテントウダマシ

   体長約2.9mm。こちらもおそらく立ち枯れのスプレーイングで得ている。前種と同じ亜科に属しており、毛が多い。こちらは細長い体型と、特徴的な触角の形ですぐに分かった。この触角の形はいったい何の理由があるのだろうか。そういったことを考えるのは楽しい。
(参考:佐々治寛之 日本産テントウダマシ科概説 甲虫ニュース、原色日本甲虫図鑑第3巻


ハムシ科 Chrysomelidae

クビボソハムシ亜科 Criocerinae

アカクビナガハムシ
Lilioceris (Lilioceris) subpolita (Motschulsky, 1861)
アカクビナガハムシ

   体長約9.1mm。食草はサルトリイバラで、林道沿いの草をビーティングしているときに落ちてきた。まるでルビーのような透き通った赤色が美しい。特に前胸背板は点刻が一切なく、その美しさがさらに際立つ。脚や顔は黒いが、こちらは白っぽい毛に密に覆われているようだ。
(参考:日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説、原色日本甲虫図鑑第4巻)


サルハムシ亜科 Eumolpinae

マダラアラゲサルハムシ
Demotina fasciculata Baly, 1874
マダラアラゲサルハムシ

   体長約4.3mm。木の葉をビーティングしていると、うんざりするほどたくさん落ちてくるハムシ。この虫を1番見る採集になることもたまにある、がっしりした体つきで、一瞬ゾウムシの仲間のようにも見える。上翅に白い模様があるが、剛毛が集まって模様になっている。小楯板なんかは、全て剛毛で覆われている。
(参考:日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説、原色日本甲虫図鑑第4巻)

2017年10月7日土曜日

標本写真 2017.10.1② マルカブトゴミムシダマシなど

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ゴミムシダマシ科 Tenebrionidae

ゴミムシダマシ亜科 Tenebrioninae

カブトゴミムダマシ族 Bolitophagini
(カブトゴミムダマシ亜族 Bolitophagina)

マルカブトゴミムシダマシ
Bolitophagiella pannosa (Lewis, 1894)
マルカブトゴミムシダマシ

   体長約4.4mm。多孔菌の仲間から得ることができる。肉眼で見ると、パッと見ダンゴムシがついているように見える。その体は泥なのかキノコの組織なのかで汚れているのが常のようであり、このまるで南部鉄器のようないかつく、重厚な姿は掃除をしないと見ることができない。カブトゴミムシダマシに比べると幾分寸詰まりな体型をしている。
(参考:日本産ゴミムシダマシ大図鑑)



キノコゴミムシダマシ亜科 Diaperinae

キノコゴミムダマシ族 Diaperini
(キノコゴミムダマシ亜族 Diaperina)

ヒメオビキノコゴミムシダマシ
Platydema nigropicta Nakane, 1963
ヒメオビキノコゴミムシダマシ

   体長約3.1mm。多孔菌から得ることができる。黄色い地に黒い紋があるかわいらしいゴミムシダマシ。次のクロオビキノコゴミムシダマシとよく似るが、紋のパターンや体型(本種の方が丸い)、大きさ(本種の方が小さい)が異なる。また、光沢があるのも特徴で、撮影のためにストロボをたくとまったく違った雰囲気になるのも面白い。
(参考:日本産ゴミムシダマシ大図鑑)


クロオビキノコゴミムシダマシ
Platydema pallidicornis (Lewis, 1894)
クロオビキノコゴミムシダマシ

  体長約3.7mm。おそらく朽ち木から落ちてきている。採集時には前種と区別がつかなかった。後で調べると複数種が混じっているのはとても面白い。撮影してみると、結構違うものなのだなあと感じる。目立った造形はないが、それがかえって模様の美しさを際立たせているように感じる。
(参考:日本産ゴミムシダマシ大図鑑)

ツノボソキノコゴミムシダマシ♂
Platydema recticornis Lewis, 1894
ツノボソキノコゴミムシダマシ

   体長約5.2mm。多孔菌から得たのか、朽ち木から得たのか定かでない。キノコにたくさんいる黒くて丸いタイプのゴミムシダマシの中では小さい方か。オスには立派な角があるが、小型のものは角まで小型になってしまうという。この個体は図鑑の最大体長くらいあるので、見事な角を持っている。角の付け根から先端に向かってグラデーションがかかっているのが美しい。
(参考:日本産ゴミムシダマシ大図鑑)

クロツヤキノコゴミムシダマシ♂
Platydema nigroaeneum Motschulsky, 1861
クロツヤキノコゴミムシダマシ

   体長約7.7mm。多孔菌から得たのか、朽ち木から得たのか定かでない。キノコにたくさんいる黒くて丸いタイプのゴミムシダマシの中では大きい方か。オスの角は前種と比べ明らかに太短く、グラデーションもない。この手のゴミムシダマシの中では最も普通のようだ。よく似たマルツヤキノコゴミムシダマシとは、前胸背板の長さで見分けることができるようだ。本種は短い。

(参考:日本産ゴミムシダマシ大図鑑)

ツヤゴミムダマシ族 Scaphidemini

ヨツボシゴミムシダマシ
Basanus erotyloides Lewis, 1891

   体長約9.1mm。立ち枯れから落ちてきた。黒地に黄色の4つの紋(勝手にキノコマークと呼んでいる)がある。この模様はキノコにいる虫にとても多い気がするが、誰かが大元で、みんな擬態をしているのだろうか。上翅から前胸背板、頭部に向かうにつれて、だんだん点刻が密になっていく。
(参考:日本産ゴミムシダマシ大図鑑)