はじめに

深度合成を用いて撮影した昆虫をタイトル通り”ためつすがめつ”、様々な方向から掲載し紹介していきたいと思います。同定間違い、学名等の間違い、どんどんご指摘ください。今後ともよろしくお願い致します。

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2017年9月28日木曜日

標本写真 2017.5.8① タカハシトゲゾウムシなど

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タマムシ科 Buprestidae

ナガタマムシ亜科 Agrilinae

ナカボソタマムシ族 Coraebini

シロオビナカボソタマムシ
Coraebus quadriundulatus Motschulsky, 1866
シロオビナカボソタマムシ

シロオビナカボソタマムシ
2016.5.3 撮影
   ナガタマムシの仲間では大きい方に入り、かつ目にしやすいであろう種。キイチゴ類を食べ、その葉上にいることが多いというが、背の低い木であるので余計に見つかりやすいのであろう。玉虫というと繊細で美しいというイメージがあるかもしれないが、本種に関しては金属を叩いて爬虫類の鱗のようにも見える前胸背板、焼き入れしたようにも見える鞘翅など、なんとも無骨な姿が浮かび上がった。
(参考:日本産タマムシ大図鑑)


カミキリムシ科 Cerambycidae

フトカミキリ亜科 Lamiinae

サビカミキリ族 Pteropliini

アトモンサビカミキリ
Pterolophia (Pterolophia) granulata (Motschulsky, 1866)
アトモンサビカミキリ

アトモンサビカミキリ
2016.4.26 撮影
   カミキリムシの中でも、特にどこでも見られる可能性のある、いわゆる「普通種」である。見た目に派手さもないことから、あまり顧みられることのない種かもしれない。しかし、このどこにでもいるということが大きな魅力ではないだろうか。カミキリムシは基本的には植物食だが、図鑑によるとこの種は菌類も食べるらしい。その適応力の高さが、繁栄につながっているのだろうか。
(参考:日本産カミキリムシ)


ハムシ科 Chrysomelidae

ヒゲナガハムシ亜科 Galerucinae

ムネアカウスイロハムシ
Monolepta kurosawai Chûjô et Ohno, 1961
ムネアカウスイロハムシ


ムネアカウスイロハムシ
2016.5.3 撮影
   ケンポナシをホストとするハムシ。生時の瑞々しい姿は美しく、鞘翅から後翅が透けて見える。このハムシ最大の魅力は、何といっても前胸背板のルビーのような赤だと思う。標本にしてもなお美しい。ハムシは植物に依存するので、私自身ある特定の1か所でしかまだ見たことがない。
(参考:日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説、原色日本甲虫図鑑第4巻


ゾウムシ科 Curculionidae

ゾウムシ亜科 Curculionidae

Rhamphini

タカハシトゲゾウムシ
Dinorhopala takahashii (Kôno, 1930)
タカハシトゲゾウムシ
   日本産ゾウムシきっての異形のゾウムシ(だとおもう)。その姿はどちらかと言えばトゲハムシの仲間に似ている。口吻もとても短い。何よりも強烈な造形は後脚の腿節で、まるで回転ノコギリの刃のような突起がついている。こんな造形の虫がいるのだと、ただただ驚きを感じるばかりである。桜の花が散り、葉桜になったころ、その葉上で稀に見つかるようだ。
(参考:原色日本甲虫図鑑第4巻、日本産ゾウムシデータベース

2017年9月25日月曜日

標本写真 2017.9.18② ヒゲブトクチブトゾウムシなど

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アトコブゴミムシダマシ科 Zopheridae

ホソカタムシ亜科 Colydiinae

ノコギリホソカタムシ
Endophloeus serratus (Sharp, 1885)
ノコギリホソカタムシ
   ホソカタムシの仲間ではおそらく最も普通にみることができる種。立ち枯れがあれば、古すぎたりしなければ大抵見つかる。地色は黒いが、白い分泌物で覆われる。ごつごつした体、出っ張った前胸背板、太短い剛毛など、とても魅力的な姿をしている。こんなかっこいいのが普通種でよかった。
(参考:日本産ホソカタムシ類図説)


ゴミムシダマシ科 Tenebrionidae

キノコゴミムシダマシ亜科 Diaperinae

ツヤゴミムダマシ族 Scaphidemini

ホソモンツヤゴミムシダマシ
Scaphidema pictipennis Lewis, 1894
ホソモンツヤゴミムシダマシ

   キノコから得られたゴミムシダマシ。鞘翅の紋は変異があるらしく、ほぼ消失するようなものもいるようだ。肉眼ではこの紋に気が付かなかったが、光を当てると分かった。以前は紋の形により、3種に分けられていたそうだが、現在は1種に統合されている。近似種とは体型や触角の形、紋の形や点刻などで見分けるようだ。
(参考:日本産ゴミムシダマシ大図鑑)


ハムシ科 Chrysomelidae

ノミハムシ亜科 Alticinae

ハネナシトビハムシ
Batophila acutangula Heikertinger, 1921
ハネナシトビハムシ
   名前の通り、後翅が退化したノミハムシ。といっても、解剖しないと見えないのであるが。図鑑の解説によると、光沢の色彩に変異があり、このような緑系統のほかにも銅色や青色があるそうだ。見事な瓢箪型の体型がなんとも美しい。キイチゴ類を食べるらしく、おそらくキイチゴをスウィーピングしたときに得られたのであろう。
(参考:日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説、原色日本甲虫図鑑第4巻)


トゲハムシ亜科 Hispinae

クロルリトゲハムシ
Rhadinosa nigrocyanea (Motschulsky, 1861)
クロルリトゲハムシ
   全身を棘に覆われ、他を寄せ付けないような雰囲気があるトゲハムシ。ススキの葉を覗いてみると、割とよく見かける。その棘にばかり目を奪われがちだが、よく見ると触角の先端5節が毛で覆われていたり、各脚の脛節の形が面白かったり、色々発見がある。よく似て、さらに同じススキに付くクロトゲハムシとは、見た目では棘の長さ(クロルリの方が長い)が違いが分かりやすいが、胕節の爪がクロトゲは1本、クロルリは2本という大きな違いがある。
(参考:日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説、原色日本甲虫図鑑第4、ハムシハンドブック)



チョッキリゾウムシ科 Rhynchitidae

チョッキリ族 Rhynchitini
(チョッキリ亜族 Rhynchitina)

ヒメケブカチョッキリ
Involvulus (Involvulus) pilosus (Roelofs,1874)
ヒメケブカチョッキリ
   ケブカの名前通り、長い毛に覆われているチョッキリ。近似種とは点刻列や毛の生え方の違いで見分けるようだ。ノイバラやキイチゴなどバラ科の植物につくようで、害を与えることもあるらしい。青く輝く体は何とも美しく、まるで宝石のようだ。広く分布する種らしい。
(参考:オトシブミ・チョッキリの世界、原色日本甲虫図鑑第4巻、オトシブミハンドブック


ゾウムシ科 Curculionidae

クチブトゾウムシ亜科 Entiminae

クチブトゾウムシ族 Cyphicerini
Myllocerina)

ヒゲブトクチブトゾウムシ
Amyllocerus abnormalis (Sharp, 1896)
ヒゲブトクチブトゾウムシ
   フトが二回も使われているので、とても太い印象を持ってしまうゾウムシ。名前の通り触角の第一節は太く、非常にがっしりとした印象を受ける。その触角を含め全身は鱗片で埋め尽くされており、鞘翅に紋がある。図鑑には稀な種と書いてあるが、岐阜県ではいくつか記録がある。
(参考:日本の昆虫Vol.3 ゾウムシ科(1)

2017年9月23日土曜日

標本写真 2017.9.18① ホソヒラタゴミムシなど

   しばらく更新をさぼっておりました。継続はやはり難しいですね。現在はできるだけ多くの甲虫の深度合成による標本写真を撮りためたいと思っております。そこで、採集後に展足したものをできる限り素早く撮影することにしました。これからは標本写真が主体で、採集の記録よりもその種について書こうかなと思います。誤同定や新たな知見などがありましたら、教えていただけると幸いです。
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オサムシ科 Carabidae

ナガゴミムシ亜科 Pterostichinae

ヒラタゴミムシ族 Platynini

コハラアカモリヒラタゴミムシ
Colpodes (Lissagonums) lampros (Bates, 1873)

コハラアカモリヒラタゴミムシ
   鞘翅が金緑色になるヒラタゴミムシの仲間。この仲間の同定は苦手で、実際にコがない方と間違え指摘していただいた。後脚胕節の第4節が二裂するなどの特徴がある。朽木にスプレーをかけたら落ちてきた。肉眼だとほぼ黒く見えるが、光を当てることで渋い光を見せる。
(参考:原色日本甲虫図鑑第2巻、WEB図鑑「里山のゴミムシ」、森正人 兵庫県のヒラタゴミムシ きべりはむし)

ホソヒラタゴミムシ
Pristosia aeneocola (Bates, 1873)
ホソヒラタゴミムシ
   こちらも朽木のスプレーで落ちてきたゴミムシ。図鑑では真っ黒なように見えるが、撮影してみると鞘翅がかすかに金緑色であった。どうやら地域によっては色彩も多少変わるらしい。どこを見てもかっこいいゴミムシだが、個人的には胕節の爪が櫛歯状になっているのがとてもかっこいいと思っている。
(参考:原色日本甲虫図鑑第2巻、WEB図鑑「里山のゴミムシ」、森正人 兵庫県のヒラタゴミムシ きべりはむし)


ハネカクシ科 Staphylinidae

デオキノコムシ亜科 Scaphidiinae

Scaphidiini 

エグリデオキノコムシ♀
Scaphidium  emarginatum  Lewis, 1893
エグリデオキノコムシ♀
   この個体はメスなので、和名の由来になっている前脛節の抉れはない。Scaphidium属のなかではやや大型の種のようだ。鞘翅の紋も大きい。比較的普通に見られるようだが、私は初めて見た。触角の先端5節が大きく広がっており、魅力的。また、その前の節も丸っこくなっており、そこもなんともかわいい。
(参考:原色日本甲虫図鑑第2巻、小川遼 日本産デオキノコムシ亜科 昆虫と自然)

ヒメデオキノコムシ♂
Scaphidium  femorale  Lewis, 1893
ヒメデオキノコムシ♂
    前種に似ているが、それよりやや小型で、触角も紋も小さい。紋に関しては特に前方のものは形の変異が大きく、時に消失するものもあるのだとか。こちらもよく採れる種だそうだ。後脚腿節にでっぱりがあるが、見えるように整形できなかった。
(参考:原色日本甲虫図鑑第2巻、小川遼 日本産デオキノコムシ亜科 昆虫と自然)

シリアカデオキノコムシ
Scaphidium rufopygum   Lewis, 1893
シリアカデオキノコムシ
   前2種と同属ではあるが、鞘翅に紋がないので雰囲気が変わる。紋の代わりに、点刻による列がある。和名の通り翅から飛び出た腹が赤いが、それだけでなく脚も赤い。触角も控えめである。
(参考:原色日本甲虫図鑑第2巻、小川遼 日本産デオキノコムシ亜科 昆虫と自然)

Scaphisomatini 


ヤマトホソケシデオキノコムシ
Toxidium  aberrans  Achard, 1923

ヤマトホソケシデオキノコムシ



   前種までと族が異なる、小さなデオキノコ。体型が細長くスマートなので他種と識別がつきやすいのではないだろうか。日本に広く分布するが、他の微小デオキノコと違って、1属1種しかいないそうだ。触角が前までの種と全く異なり、先端が広がらず、刺毛を備える。
(参考:原色日本甲虫図鑑第2巻)