はじめに

深度合成を用いて撮影した昆虫をタイトル通り”ためつすがめつ”、様々な方向から掲載し紹介していきたいと思います。同定間違い、学名等の間違い、どんどんご指摘ください。今後ともよろしくお願い致します。

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2018年4月15日日曜日

標本写真 2018.4.1 ホソチビヒラタエンマムシなど

   画像はサムネイルですので、クリック(タップ)してご覧ください。

 今回はこのような新鮮なアカマツPinus densifloraの伐採木の樹皮下から得られたものを紹介する。

オサムシ科 Carabidae
ミズギワゴミムシ亜科 Bembidiinae
コミズギワゴミムシ族 Tachyini
クロチビカワゴミムシ
Tachyta (Tachyta) nana (Gyllenhal, 1810)
クロチビカワゴミムシクロチビカワゴミムシ

 体長約2.7mm。この属は古くは近縁属とともにTachys属とされてきたようだが、その亜属が昇格し属になっている。ミズギワゴミムシの仲間ではあるが、水辺ではなく樹皮下に住む。サクラの樹皮下からも得たことがあるが、そちらも新鮮なものであった。まだ瑞々しい材を好むのかもしれない。見た目はただの小さなゴミムシなのだが、表皮の構造は細かいしわが入り、鮫肌のようである。また、触角や脚以外は細い毛があまりなく、代わりに目立つ剛毛が数本生えている。暗闇の樹皮下ではこの剛毛がなんらかのアンテナの役割を果たすのだろうか。
【参考】
中根猛彦,1973‐1987.日本の甲虫(抜粋).昆虫と自然.
上野俊一・黒澤良彦・佐藤正孝(編), 1985.  原色日本甲虫図鑑(II). 
森正人,2016.兵庫県のミズギワゴミムシ類.きべりはむし.

エンマムシ科 Histeridae
オオマメエンマムシ亜科 Dendrophilinae
チビヒラタエンマムシ族 Paromalini
ホソチビヒラタエンマムシ
Paromalus Paromalus) parallelepipedus (Herbst, 1792)
ホソチビヒラタエンマムシホソチビヒラタエンマムシ

 体長約2.4mm。この種は新鮮なアカマツからも、菌が回った古いものからも得られた。あまり細かい環境にはこだわらない種なのかもしれない。エンマムシの仲間は頭や脚を引っ込めるのが上手で、この種も見つけた時にはただの楕円形の黒い点にしか見えなかった。小楯板はほぼ消失し、上翅に溝もない。点刻はあるのだが、なんだかつるっとした印象を受ける。
【参考】
大原昌宏,1996‐2001.日本産エンマムシ上科概説 I-X.甲虫ニュース.
上野俊一・黒澤良彦・佐藤正孝(編), 1985.  原色日本甲虫図鑑(II). 

カッコウムシ科 Cleridae
カッコウムシ亜科 Clerinae
アリモドキカッコウムシ
Thanasimus lewisi Jacobson, 1911
アリモドキカッコウムシアリモドキカッコウムシ


 体長約10.0mm。この種は厳密には樹皮下ではなく、伐採木の上を歩き回っていたのを採集した。幼虫は樹皮下に住むことが知られているという。”アリ”もどきという名前がついてはいるのだが、アリにしては大きすぎるし太いと感じる。似ているといえばアカネカミキリとほぼ同じ配色であり、どちらかが似せているのだろうか。上翅は赤・黒・白と彩られているが、地の色が異なるだけでなく、毛の色や太さが違うのも面白い。腹部腹面の鮮やかな赤色も美しい。
【参考】
黒澤良彦・久松定成・佐々治寛之(編), 1985.  原色日本甲虫図鑑(III). 

ネスイムシ科 Monotomidae
デオネスイ亜科 Monotominae
Monotomini
コバケデオネスイ
Mimemodes japonus (Reitter, 1874)
コバケデオネスイコバケデオネスイ

コバケデオネスイ

 体長約2.0mm。1、2枚目はオス。3枚目はメス。この属の特徴として、オスは頭部が大きく張り出す。属和名がオバケデオネスイ属なのだが、この種はその中で最小。よって、小さいお化けという意味でコバケなのだろう。細長い体形ですばしっこく動くので、肉眼ではハネカクシの仲間かと思った。どちらかといえば南方種であまり多くないと資料にはあるが、岐阜県でも記録はいくつかある。特徴的に感じたのは、腹部腹面に生えている長毛である。人間でいえばへそにあたる部分だが、ここに毛が生えている意味はなんなのだろうか。
【参考】
平野幸彦,2009.日本産ヒラタムシ上科図説第1巻.
黒澤良彦・久松定成・佐々治寛之(編), 1985.  原色日本甲虫図鑑(III). 

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